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カエルの歌

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カエルの歌
ブログ紹介
おいらはビキタロウ。跳べない蛙。
大海を知らない井の中の蛙である。

小さな青空をいつも眺め、風の音に耳を澄ませ、風が運んでくる木の葉の便りに季節を知る。

深い井戸の中から見えてくる小さな世界。
風が届けてくれるやさしい歌を謳いたい。

                  
    
ビキタロウ(蛙の方言)
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フォト日記<時化のあとさき>

2018/10/16 17:10
大きな台風が沖をとりすぎた日の前日、私に部屋に真っ先に避難してきたのはキリギリスだった。

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どうゆうわけか、私の部屋に同居している障害者のアシタカ蜘蛛、5本しかない脚では、天井の獲物を捕まえることはまず無理だろう。

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まして同じ同居人の浜ちゃんには、とても手の届く高さではない。この頃、お母ちゃんが乗り始めた新しい電動車いすの上で、知らんふりを決め込んでいる。
もしかしたら、頭のいい浜ちゃんのことだから、こんなことを考えたりしているのかもしれない。
「今度の新しい車いすはとても楽ちんで、なんだか僕にも運転できそうだな。」
実際レバー一つで、自由に動く車いすだから、猫だって前足1本で簡単に運転できそうだ。そのうち浜ちゃんを訓練して、車いすを操る猫として、ユーチューブに登場させるのも、夢ではないかもしれない。

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時化が来るのを知ってか知らずか、バラは無心に咲いていた。
畑の隅に植えた柿の木には、幸いにも今年はわずかの実しかついていない。

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隣の垣根に咲き誇っているオシロイバナも、朝に咲いて夕方には萎んでしまう一日花だけれど、風に揉まれれば、後に続く花たちは期待できないだろう。

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綿毛をつけたこの草花は、種を少しでも遠くへ飛ばそうと、時化が来るのを心待ちしているのかもしれない。

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梅の枝先に、カタツムリとミノムシが仲良く止まっていた。なんだか二匹の会話が聞こえてきそう。
「君は丈夫な蓑を持ってるから、時化が来て、どんなに雨や風が激しくなっても平気だよね。」
「君だって、立派な殻のお家をしょってるじゃないか。風に飛ばされないように梅の木の根っこのあたりでやり過ごせば、きっと大丈夫だよ。」

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破れたままの蜘蛛の巣に止まったこの女郎蜘蛛は、どこに避難するつもりだろう。普段の雨ならだらりと足を垂らしてやり過ごすことも出来るけど、時化となるとそんな訳にもいかないのに・・・・。

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数日後、時化の余波がすっかり治まった頃、久しぶりに浜に出かけた。
海を見渡す堤防の上に行くのに、10センチほどの段差があって、いつも誰かの手を借りていた。それに気づいた近所の人が、いつの間にか板のスロープを付けてくれていた。

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浜ちゃんが捨てられていたハマゴウの茂みの傍で、学校帰りの高校生が、仲良く道草を食っていた。

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浜辺に産み付けられた亀の卵が、時化の高波で影響を受けないように、高い場所に移された目印の囲いが、今年も作られていた。いったいどれだけのアカウミガメが、今年産卵にやって来たのだろう。そして、どれほどの子亀たちが、無事にこの浜を巣立っていくのだろう。

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頭上を、大きな翼を広げて、鳶が舞っていた。
産卵場所から海にたどり着くまでのわずかな距離、子亀たちの命を脅かすのは、天敵のこの鳶やカラスたちだ。

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子供の頃から見慣れた兎島が、台風に流された様子もなく、いつもの場所に、いつもの姿で浮かんでいる。
その島の向こうを流れているのは黒潮。その大きな流れの親潮までたどり着くことが出来れば、子亀たちもいつか太平洋をぐるっと巡って、再びこの浜に戻ってくる日もあることだろう。

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フォト句<暑中お見舞い>

2018/08/16 19:31
    


        暑中お見舞い申し上げます







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            蜘蛛でさえ
                日傘が欲しい
                    酷暑かな


スロープの途中で車いすを止めると、蜘蛛の巣にかかった枯葉が目に留まった。見ると、枯葉の下に、一匹の蜘蛛が日差しを避けていた。ほかにも軒下の壁には、いくつかの枯葉がかかっていて、その下には、どれも蜘蛛が隠れている。さすがの暑さに、蜘蛛が編み出した知恵、みんなが同じことをしているのが面白い。





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            飼い猫の
               偉く見ゆる日 ありまして
                   イラつく心 持て余すとき


八月も半ばというのに、我が家の庭先には、まだアジサイの花が咲いている。はじめ真っ白だった花びらも、時を追って色を変え、今は薄緑色の中にあずき色が交じり、殆ど乾いたドライフラワーのようになっている。
その下で、いつも穏やかな顔をして、涼んでいる浜ちゃん。体調が悪くなれば、ゆとりを失くし、歳を重ねるにつれて、見苦しい自分を曝している私は、最後にどんな色に落ち着くのやら。




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            デンデンの
              歩みのごとく
                 我も生きたし


後期高齢者になったとたん、体調に変化が起こってきた。関節の痛みを覚えるようになり、車の運転も難しくなってきたので、十月に免許証の切り替えを控え、この際更新を諦めることにした。
免許をとって40数年、車はまさに私の足となってくれた。といっても、勇ましく大海に飛び出して行ったわけでもなく、せいぜい古井戸の周りをウロウロしたに過ぎないけれど、行きたいときに、行きたい場所に行ける自由を失うことは、やはり寂しい。その自由を諦めることは、手に入れようとしたとき以上に、勇気がいる。でも、この先、事故を起こしたり、やむなく運転を諦めるしかなくなるまで待つより、いままだ選択の余地があるうちに、自らの意志で諦める方が、次のステージに上るための余力を残せそうな気がする。
考えれば、元居た古井戸に戻るだけのこと。「井の中のカエル大海を知らず されど天の蒼さを知る」この諺のとおり、これからは、足元の小さな世界や空の高きに目を向け、ささやかな喜びや感動を見つけることにしよう。





   
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フォト日記<バッタと猫とドングリと>

2018/06/28 22:48
浜ちゃんは大きなムカデにお尻を噛まれ、深手を負ってしまいました。
それ以来、すっかり弱気になり、家に籠ることが多くなりました。
今では、食事の時でさえ、お母ちゃんの膝の上に上りたがる甘ちゃんです。

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ある日、窓の向こうで、浜ちゃんを呼ぶ声がしました。
「ハマノスケ、外で遊ぼうぜ。」

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それは、この頃仲良しになったバッタのキチキチでした。

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「網戸越しじゃ、鬼ごっこも出来ないぜ。」
「おいら、ムカデにかまれちゃって、そんな気分じゃないんだ。」

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「チェ、ドジな猫だぜ、まったく。」

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「治るまで、せいぜいお母ちゃんに甘えてな。またお遊びに来てやるからな。」

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それから暫くたったある日、浜ちゃんがお母ちゃんの車いすの上で昼寝をしていると、バッタは本当にやって来ました。
「チェ、せっかく来てやったのに、眠ってら。いっちょからかってやるか。」

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「おっと、猫の口の中に、危なく飛び込むとこだったぜ。」

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「ハマノスケ、鬼ごっこしようぜ。」

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「おいら、まだ眠くて、そんな気分じゃないんだ。」

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「そんなこと言って、おいらを油断させようってんだろ?」

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浜ちゃんは、尻尾の先をフリフリさせて、本気モードに入りました。

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トンボを狙う調子で、そろそろ近づき、手を伸ばした瞬間、

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バッタのキチキチは、床の上に飛び降りていました。
浜ちゃんは、それ以上、追いかけたりしませんでした。
ムカデの一件以来、深追いすると、ろくなことにならないことを学習したからでした。

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バッタが来ない日、浜ちゃんの相手をしてくれるのは、どんぐりです。

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ドングリのサッカーボールをあっちに転がし、

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こっちに転がして、

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ドングリのお尻を追いかけても、

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独りでするサッカーは、すぐに飽いて、ちっとも面白くありません。

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そんなわけで、浜ちゃんのストレスは溜まりに溜まり、自分の尻尾の毛をむしりとったおかげで、すっかり夏向きの、ライオンの尻尾のようになりました。

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フォト日記<夜なべ仕事>

2018/05/17 18:37

このところ毎晩のように、、お清ばあさんは、夜なべ仕事が忙しい。
みんなが寝静まる夜中過ぎに一人起きだして、なにやらガタゴトやっている。
何をしているかというと、家中を回って、戸締りをしているらしいのだ。カギをするだけでは飽き足らず、いろいろ工夫して、バリケードまで築いている。

座敷の部屋は、カーテンのすそに、座布団を並べただけの簡単な仕掛けのもの。

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ところが縁側になると、カーテンの抑えに、ガラス戸や鏡、藤椅子や机まで引っ張り出してきて、並べている。
94歳の年寄りが一人でしたとは思えない、かなり体力を使う仕事だ。
でもお母ちゃんは、お清ばあさんの足腰が弱らないのは、その夜なべ仕事のお陰だからと言って、見て見ぬふりをして、好きにさせている。

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玄関はどうかというと、長椅子を並べたうえに、突っ張り棒までする、念の入れようだ。
使っているのは体力だけじゃない、頭もけっこう使っているのが、よくわかる。

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おいらが一番出入りするお風呂場の勝手口も、例外ではない。
ここは、野良猫のガールフレンドが餌もらいにやって来る大事なデート場所なんだけどな・・・・・・。

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そんなわけで、おいらは朝早く出かけたくても、どこからも出られないんだ。
だからお母ちゃんに頼んで、毎朝寝室の窓から出してもらっている。
でも朝寝坊のお母ちゃんを起こし、長い棒を使って窓を開けてもらうのも、けっこう気を使うんだ。
朝は機嫌が悪い上に、この頃は手が痛いらしくて、ぶつぶつ言いながら、やっとこさ開けてくれる。

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お母ちゃんは、お清ばあさんの夜なべ仕事はボケのせいだと言うけれど。おいらはそうは思わない。
だって、呆けた人間に、あんなに手の込んだ仕掛けは絶対に出来ないもの。
「お母ちゃん、そう思わない?」

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フォト日記<遅咲きの花>

2018/04/10 18:06
「なんかいい匂いがするなぁ。」
空を見上げて、浜ちゃんが鼻をクンクンさせています。

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そこは、日当たりのよい屋根の上、臆病な浜ちゃんにとっては、見晴らしの効くお気に入りの場所です。
「浜ちゃん、そこから、何が見えるね。」

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浜ちゃんが見ていたのは、薄緑の軟らかな若葉を出したばかりの榎の梢でした。
若葉の緑が濃くなって、あおい小さな実を沢山つけると、男の子たちは、それを竹鉄砲に詰めて、パンパン鳴らして飛ばしたものでした。
夏の終わりには、あのきれいな羽根を持った玉虫が卵を産み付けにやって来るのも、この榎の梢です。

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榎の下には、春も半ばというのに、遅咲きの椿の花がまだ数輪咲いています。

     遅咲きの椿はいまだ藪の中
           尋ねる鳥の影も途絶えて

花の盛りに、毎日のように蜜を吸いにやって来たメジロやヒヨたちの姿は、もうどこにもありません。

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草を刈り取った土手に、真っ先に花を咲かせているのはオドリコソウ。
踊り子たちが輪になって、甘い匂いをまき散らせながら、ピンクのスカートを跳ね上げて踊っています。

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今年はまだ桜を見ていないことに気が付いて、夕方慌てて出かけました。
夕凪の海は、波も静かで、松林の間から、遠く水平線に浮かぶ兎島がぼんやり見えました。

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日没までには、まだ少し時間がありそうな、花見になんとか間に合いそうです

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川岸の桜も満開を少し過ぎたあたり、夕日を受けて、花びらの色がいっそう濃く見えました。

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広場の真ん中で、石像の少年と少女が桜を見ていました。
暮れていく淡い夕日の中で見る二人の影は、何だか少し寂しそう。
夜になっても、この二人には、帰る家がないんだよね・・・・。

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川岸の運動場で、石像と同じ年くらいの少年たちが野球をしていました。

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ホームランの球を追いかけて、川岸近くまで駆けてきた少年、探す球が見つかりません。
川の中に、落ちていなければいいけどね・・・・・・。

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花見を終えて帰る頃、浜の上には、ぼんやりと満月が昇っていました。

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真っすぐに伸びた若竹の兄弟が、仲良く並んで、その月を眺めていました。

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フォト日記<春は来たれど>

2018/03/10 22:36
春が来たばかりのある朝、梅の匂いに誘われて、浜ちゃんが裏庭に出てきました。

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去年は、数えるほどしか咲かなかった梅が、今年は倍以上の花をつけています。

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近くの竹やぶに、藪椿も真っ赤な花を沢山つけました。

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「お母ちゃん、ぼくここでオシッコしてもいい?」

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「誰も見ていないかな・・・・」キョロキョロする浜ちゃん。
すぐ傍で、落ち椿の花が見ています。

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神妙な顔でしゃがんで用を済ませる浜ちゃんのスタイルは、明らかにメス猫のやり方。
去勢をされた浜ちゃんは、もはや縄張りもいらないから、生粋のオス猫みたいに、後ろ足をあげて放尿することもないのです。
でも、やっぱりそんな姿、メス猫にだけは見られたくないのでしょう。

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オシッコを済ませた浜ちゃん、今度は柿の木の上で爪研ぎです。
爪を研ぐことで、オス猫の強さをやっぱり誇示したいのかな。

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そこへ丁度、野良のメス猫がやって来るのが目に留まりました。

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「まってー。」
爪研ぎもそっちのけに、夢中で飛び降りる浜ちゃん。

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「ねー、一緒に遊ぼうよ。僕とお友達になろうよ。ねーってば。」
なりふり構わず、メス猫の後を追いかけた浜ちゃんでしたが。

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「去る者は追わずか・・・」
そっけなく去っていくメス猫を、だまって見送る浜ちゃん。オスのプライドが、それ以上追いかけるのを引き止めたようです。

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それでもその後、浜ちゃんは地面に転がったまま、ながいこと、ふて寝をしていました。
浜ちゃんの春は、まだまだずっと先の様です。

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フォト短歌<早春賦>

2018/02/07 16:58

      日向ぼこ
        寄り添う影の
            縁先に
          春は名のみの
                風の寒さや


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      屋根の上
         まどろむ猫の
              夢覚まし
            ひげ震わせて
                木枯らしの吹く


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      白き手に
        袖を引かれて
            振り向けば
          ものを欲し気に
              君 ニャンと鳴く


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フォト俳句<初夢>

2018/01/08 23:19

    明けまして おめでとうございます。

        今年も浜ちゃん共々、よろしくお願いいたします。   



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       初夢や
          客の来ぬ間の
                寝正月

猫も又、人並みにいびきをかくことを、この頃知った。
眠っている浜ちゃんに顔を近づけると、寝息ともいびきとも知れないクークーという音をさせている。
そんな時、きっと夢を見ているに違いないと思う。
その夢の中に、果たして私は登場するのかな。
夢の中の私は、やっぱり車いすに乗っているのかな。
せめて夢の中ぐらい、立って歩いてみたいものだ。
そして、車いすの私しか知らない浜ちゃんの、驚く顔が見てみたいものだ。


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フォト日記<村祭りの頃>

2017/11/27 17:00

村祭りの頃になると、毎年冬の渡り鳥のヒビタキが挨拶にやって来ます。
小雨の中、今年も庭先のグミの木に止まって、ピョコピョコお辞儀をしていました。

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浜ちゃんが、玄関先の椅子の上から、歯ぎしりしながら見ています。

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村祭りの朝、一足早く、お神酒を配って、可愛い巫女さんたちがやって来ました。

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猫好きの巫女さんたちに背中を撫でられて、ご機嫌の浜ちゃんです。
ところが、耳慣れない太鼓の音が聞こえてくると、大慌てで家の中に飛び込んでしまいました。

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いつもは神社の近くまで下りて行って、祭りの一行を迎えていたのですが、今年は間に合わず、庭先で見送ることにしました。
すると、そんな私たちに気づいた一行が、なんと道をそれて、我が家の方に上ってくるではありませんか。

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我が家の庭先まで、お神輿がやってくるのは、初めてのこと。

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毎年写真を撮って、顔なじみになった巫女さんが、ポーズをとってくれました。
お神輿や獅子頭など、他にもたくさん撮ったはずなのに、慌ててシャッターを切った写真はピンボケばかり。

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その中で、赤鬼さんだけは、しっかりピントが合っていました。
この顔を、浜ちゃんが見たら、さぞかし腰を抜かしたことでしょう。

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我が家の庭先に、これほどの人数が集まったのはかってないことでした。
お祭りの一行は、思いがけない感動と、つかの間の賑わいを残して、やがて去っていきました。

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静かになった迫の谷で、ほっとしたようにバケツの水を飲む浜ちゃん。
色づいた柿の葉が水を染めて、よけいに旨そうです。

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頭上では、一つだけ残った熟し柿を、メジロがしきりに突いていました。

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浜ちゃんの天敵

2017/10/23 18:38
お風呂場の外にある温水器の上、そこが浜ちゃんの一番のお気に入りの場所です。
なぜならそこは、いつもほどよく温かくて、見晴らしがよいので、ガールフレンドや天敵のクロちゃんがいつやってきても、すぐにわかるからです。

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ガールフレンドがやってくるのは、決まって夜おそく。
浜ちゃんも口にしないような残飯を、わざわざ食べに来るのです。

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でも浜ちゃんは、彼女が食べているのを、傍で見ているだけで、それ以上ちょっかいを出したりはしません。
彼女がクロちゃんの猫だということを、ちゃんと心得ているからです。

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ある日、浜ちゃんが橋のたもとfで、写真を撮ってもらっていると。

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いきなり天敵のクロちゃんが現れました。

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すでにへっぴり腰の浜ちゃん。

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そこへいい塩梅に、お母ちゃんの友達が助っ人に入ってくれました。
「コラー 浜ちゃんをいじめたら、ただじゃすまんど。」

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「いじめたりするもんですかいな、旦那。いつも仲ようしてまっせ。なぁ、ハマノスケ。」

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「ちぇ、変なのが飛び込んできやがって。今日の所は、ひとまず退散とすっか。」

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おとなしく帰っていくクロちゃんを、複雑な気持ちで見送る浜ちゃんでした。

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フォトジョー句

2017/09/27 15:36


         勲章は
           縁がないまま
                 認知症
              それでも笑顔は
                     紫綬褒章


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         芋食えば
            入れ歯は踊る
                 喉詰まる
               止まらぬものは
                   音もなく出る屁


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フォト短歌

2017/09/15 22:50


          送り火の
             火番の猫の
                  ほの白く
                いつしか月も
                    昇りたるらし



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          雨間見て
             あげはの蝶の
                   忙しく
                 ボタンクサギも
                      終いの一輪


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フォト短歌

2017/08/29 21:57



          ねんごろに
             足であやして
                  猫寝かせ
              猫より先に
                 ばあさん寝たよ


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フォト短歌

2017/08/19 11:38



          蔓草も
            見かねて日傘
                 差し掛ける
                    萎れて紅き
                      八月のバラ


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          遠雷を
            聞くともなしに
                  竿の先
                    燕尾の服は
                        夏草の色


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暑中お見舞い

2017/08/07 23:24



        暑中お見舞い申し上げます。


台風一過の青空の中、今朝は沢山のショウリョウトンボが飛んでいました。
お盆が間近いことを知って、台風と一緒に、大急ぎでやって来たのでしょうか。
ヤンマやシオカラトンボなら簡単に捕まえる浜ちゃんも、高い所で飛ぶ精霊トンボには、さすがに手が出ません。
空を見上げて、悔しそうな気張り声をあげながら,キョロキョロ目で追いかけていました。
暑い昼間は、冷たい廊下に、仰向けに寝転んで、昼寝ばかりしている、この頃の浜ちゃんです。


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筍の頃

2017/06/12 18:15
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 裏の土手には、5月から6月にかけ、クロ竹やコザン竹の筍が次々と芽を出す。捥がないでいると、一日に10センチも伸びていくので、見過ごすわけにはいかない。手の届かない所は、長い鍵棒で引き倒し、近くの筍は手で捥いでいる。筍を捥ぐ時、まだ若くてしなやかな茎は、ガギッという鈍い音をたて、いのちが弾ける感触が直に手に伝わってくる。それは爽快でもあり、どこか後ろめたくもある。
 筍を捥いだ日の夕方、ベットの上で休んでいると、突然電話が鳴った。慌てて受話器を取ろうとして、無理な体勢をした時、コキッという何かが弾けたような鈍い音がした。いやな予感がしたものの、麻痺した足は痛みを感じないので、そのまま気にも留めないでいた。
 しかしあくる朝、左足を見ると、膝の周りがパンパンに腫れあがっていた。腫れはだんだんひどくなり、そのうち内出血が始まった。出血はふくらはぎから太ももにかけて日を追って広がり、赤紫の地図を広げた。体温を測ると、7度5,6分の熱、次第に食欲もなくなってきたので、とうとう観念して、6日目の午後、病院に出かけた。
 果たして、レントゲンを撮ると、見事に骨折していた。膝の上、数センチの所に、白い亀裂の線が真横に走っている。写真を見ながら、先生はさらりと言われた。
 「きれいに折れていますね。」
 「あの…入院するのは、ちょっと無理なんですけど。」という私に、
 「そうですね。あなたの場合は、ギブスをすれば、床ずれを作る心配もあるし、治ったからと言って、後で歩けるわけでもないし、幸い痛みも感じないのであれば、このまま日にちをかけて、体の治癒力に任せて、ゆっくり直す方法をとった方がいいと思いますね。」
 「はい、ありがとうございます。」私は思わず先生に頭を下げ、お礼を言っていた。
 入院することになったらどうしよう。姉や浜ちゃんを残して、入院などできやしない、そう覚悟して、ヒヤヒヤしながら受けた診察だったから、先生のその一言がどんなにありがたかったか。
 「今度は、いつ診察に来ればいいんですか?」
 「もう来なくても、いいですよ。」
 「え、ずっと?」
 「はい、ずっと。」
 「治っても?」と言いかけて、慌てて言い直した。
 「あの、痛みがないので、どうやって、治ったかどうかを知ればいいのですか?」
 「腫れがすっかり引いたら、大丈夫ですよ。」
 先生の自信ありげな、半ば突き放すようなそっけない態度に、私はかえって安心感を覚え、ルンルン気分で診察室をあとにした。

 それにしても、人間の体は何とうまく出来ているのだろう。私の知らないところで、体は昼夜休みなく壊れた個所を修復し、突貫工事をやってくれている。私はその治癒力を信じて、ただ待ってさえいれば、時が解決してくれる。なんとありがたいことだろう。
 何よりも、日常の暮らしをしながら、治療できるのがありがたい。もし、入院することにでもなっていたら、不安や不便さでストレスは溜まるだろうし、筋力も落ち、回復するのに、もっと時間がかかったことだろう。
 骨折から3週間、今では内出血もすっかり消え、腫れも日に日に減っている。痛みを感じない私は骨折していることさえ、つい忘れてしまう。
 裏の土手には、今もまだ晩生の筍が芽を出しているが、骨折して以来、それを捥ぐ気にはなれないでいる。


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迫の明け暮れ

2017/05/12 18:48
3月に白い花を咲かせていた庭の野イチゴが、いつの間にか艶やかな真っ赤な実をつけていました。

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でも色づくのを待って、鳥たちがかたっぱしから啄んでいくようです。
イチゴの傍に、懐かしい白いあぶくを見つけました。子供の頃、そこにはホタルの子供が棲んでいると信じていました。それが、アワフキムシという幼虫の住みかだと知ったのは、大人になったずっと後のことでした。

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庭の植え込みの中で、時々見かけていたホオジロが、とうとう浜ちゃんの餌食になってしまいました。座敷に咥えてきたのを見て、思わず大声で叱ってしまったので、反射的に強く噛んでしまったのでしょう.。取り上げた時には、すでに虫の息でした。

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ホオジロは雑食性で、草の種でも食べるというので、きっと野イチゴを食べに来ていたのかもしれません。
鉢植えの黄色いバラを移植したばかりのすぐ傍に、オドリコソウの花と一緒に埋めてやりました。

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ある日、小雨の降りしきるなか、クロが濡れそぼった状態で、庭にやって来ました。

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濡れるのもいとわず、ゆっくりした足取りで歩いてくるクロの貫禄に、浜ちゃんはすっかり腰が引けています。
一度大喧嘩をして、こっぴどくやられて以来、クロは浜ちゃんの天敵になりました。

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ひさしの下の一段高い温水器の上に陣取っていた浜ちゃん。そこへクロが雨宿りにやって来て、洗濯機の上に腰を下ろしました。

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「浜ちゃん、下りておいで。お母ちゃんがついてるから。」
声をかけても、浜ちゃんは耳を伏せたまま、固まってしまっているようです。
雨が上がるまで、二匹は向き合ったまま、長いこと動こうとしませんでした。

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浜ちゃんが安心していられるのは、もはや屋根の上しかなさそうです。
「浜ちゃん、自分で降りてこんと、しらんよ。」
浜ちゃんの向こうに見えるのは、源氏山の麓に咲いた満開の桐の花。

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その桐の木に、初めてカラスが巣をかけているのを、最近、子供たちが見つけました。
大きな枝を上手に組んだ頑丈な巣です。
巣の端から、時々黒い頭やシッポの先が見えるので、たぶん卵を抱いているのでしょう。
今は丁度、桐の花の真っ盛り。桐の花は房状に咲くのだけれど、散るときは、一輪ごとに潔く、真っすぐ地上に向かって落下していく。きっとカラスの巣の上にも、その花びらは落ちてきて、そこら一面薄紫の花むしろを敷くことでしょう。はたして、何匹のカラスの子供たちが生れることやら。

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フォト日記<花一輪>

2017/04/22 18:03
久し振りに、塩見川の川岸を訪ねた。
そこにはコナラの林があって、秋には沢山のドングリの実が落ちる。
ドングリは柔らかな苔の絨毯の上に落ち、やがて鳥たちの餌になる。
ドングリの消えた苔筵の上に、今年最後の椿の花が、木洩れ日を浴びて美しいコントラストを見せていた。
椿の花は、枝に咲いていた時以上に、落花してなお一層、花一輪の輝きを見せる。

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一輪の花が似合う菫の花が、そこでも咲いていた。

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そこでは、何故かタンポポの花まで、一輪を好んで咲いている。

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ウズラの卵ほどの丸いものが、無造作に苔の窪みに転がっていた。鳥の卵?
親に見捨てられた卵は、もはや自ら殻を破って、新しい世界に出てくる元気はないだろう。

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山桜が咲き、川岸に浜大根の花が咲き始めると、大方の鴨たちは北へ旅立っていく。
何の訳があってか、わずかに残る居残り組をあとに残して。

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常連のカラスたちは、一年中ここを離れない。
ドングリだってあるし、ハマグリは食べ放題。高い所から岩の上に落とせば、簡単に食べられることも知っている。
その日も、番いのカラスが、川岸に並んで、遠くの鴨たちを見ていた。

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その時、二匹の目の前を、真っ白いシラサギが川面をすれすれに飛び去って行った。

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そのシラサギを追いかけて一匹が飛び去った後、もう一匹は杭の上に止まったまま、追いかけようとはしなかった。
「お前は、やっぱりまだあいつが好きなんだな・・・。」

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帰りかけて、ふと見ると、一匹のカラスが川岸に咲いた浜大根の花をしきりに眺めていた。
その花を摘んで、誰かにプレゼントでもするのだろうか。
そのカラスがシラサギに恋したカラスだったのか、それとも恋人にフラれた片思いのカラスの方だったのか、それは私にもわからない。

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フォト日記<春まだ3分咲き>

2017/03/31 22:35
咲き始めた菫やタンポポの花に飛んでくるモンシロチョウが気になって、浜ちゃんが畑に出てきました。
でも、猫の手に掛かるような、のろまな蝶々は1匹もいませんでした。

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馬鹿にされただけの浜ちゃんは、柿の木に登って、一休み。
「ここは、なんだかいい匂いがするな〜。」

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それもそのはず、柿の木のすぐ傍で、シキビの花が満開です。

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庭の隅では、今年大きな株に成長した野イチゴが、白い花を沢山つけている。
今年は、鳥たちに食べられるより先に、どれだけ収穫できるかな。

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浜ちゃんがモグラの気配をキャッチして、動く盛り土をにらんでいます。
でも、手が汚れるのが嫌なのか、モグラが美味しくないのを知っているのか、それ以上手を出そうとはしません。

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ある日、天敵のクロちゃんが、昼間からやってきました。
いつもは逃げ腰の浜ちゃん、めずらしく面と向かって向き合っているのは、2匹の間に、分厚いサッシのガラスがあるせいです。

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春先は、猫の恋の季節。
クロちゃんがいつもよりやつれて見えるのも、毎晩子作りに忙しいせいなのです。
「お前は、暇だからいいよなぁ。」
その一言に、浜ちゃんが一瞬うつむき、その背中が寂しく見えたのは、気のせいかな。

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用事を兼ねて、久しぶりに一人で散歩に出かけました。
満開の菜の花畑の向こうに、山桜が満開です。

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生まれたばかりの枇杷の実の赤ちゃんは、まだ柔らかな産毛に覆われています。

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久し振りに、浜まで足をのばすと、人っ子一人いない砂浜に、松の木の赤ちゃんだけが数を増し、背丈を伸ばしていました。

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松林の向こうのピグちゃんの小屋を訪ねると、あいにくお昼寝中だったので、声をかけずに帰りました。

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我が家にも、時を構わず、眠りを貪っている人がいます。
睡眠時間は、浜ちゃんといい勝負といったところです。

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ハルばあさんの古箪笥

2017/03/10 20:23
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 納戸の奥に仕舞われたままだった古箪笥が、この頃ようやく日の目を見た。数十年ぶりに座敷の隅に居場所を得たこの箪笥には、今頃の箪笥にはない落ち着いた風格と存在感がある。小さいながら、それぞれの引き出しには鍵がついてあり、まるで大きな金庫のようだ。欅で作られた引き出しは、いまだに少しの歪みもなく、出し入れもスムーズに出来る。引き出しの横板には、墨筆で、祖父が書いたらしい記録も残されている。買い入れ先は、「愛媛懸南宇和郡」。買い取り価格が拾円三十銭で、送り賃が15銭とある。
 この箪笥は、祖母が嫁に来るとき持って来た唯一の嫁入り道具だった。
 祖父母は、当時にしては珍しい恋愛結婚をしている。二人は同じ村に育ち、相思相愛の仲だった。しかし、親戚の娘との縁談を望んでいた曾祖父は、二人の結婚を許そうとしなかった。いつまでも許してくれない頑固な父親にしびれを切らした祖父は、しばらく祖母の実家に身を寄せていたこともあり、そのうちに母が生れた。曾祖父は仕方なく二人の結婚を許し、母が生れた翌年、出稼ぎ先の熊本で亡くなっている。そんな訳で、母の出生届は、1年遅れの1900年となった。
 母は、結局2000年まで永らえ、1世紀を生き抜いた。18、19、20世紀と、3つの世紀を生きたことになる。その頃はまだ、百歳まで生きる人は珍しく、長寿がもてはやされていた頃だったので、それぞれの市で祝い金が交付されていた。しかし、母は戸籍上では百歳にあと3か月足りなかったために、祝い金の50万をもらいそこねてしまった。
 姉の話では、祖父母はとても仲が良く、二人が喧嘩をしているのを一度も見たことがなかったという。貧しく育った祖母は、誰に対しても優しく、わけ隔てをしない人だった。乞食の親子が来れば、台所に入れてご飯を食べさせ、近所の子供たちは水浴びからの帰り道、ハルばあさんの握ってくれる味噌つけおにぎりを何よりのたのしみにしたという。
 実家の弟嫁が沢山の子供を残して亡くなると、祖母は、まだ3歳にもならなかった一番末の男の子を引き取った。彼は祖母を「おかか」と呼び、母を「あねさん」と呼んで育った。16歳の春、中学に入るために取り寄せた自分の戸籍簿を見て、初めて本当の生い立ちを知ったという。
 そんな祖母の愛情を誰よりも深く受けて育ったのは、やはり姉ではなかったかと思う。姉は、生まれると間もなくカリエスを患い、医者からは3歳までしか生きられないだろうと宣告されていた。そんな姉を、忙しい母に代わって、看護してくれたのも祖母だった。ギブスに入れられたままの幼い姉をあやし、首から濃が出止むことのなかった傷の手当てを毎日してやりながら、祖母は決して諦めなかった。鹿児島に評判の鍼灸医がいると聞きつけると、字も知らない無学の祖母が幼い姉を連れ、そこで半年間、治療を続けた。お灸の熱さに我慢できずに泣きじゃくる姉を懐に抱き、祖母は自分の乳首を咥えさせて我慢させた。涙と鼻汁でぐしょぐしょになった祖母の胸の感触を、姉は今でもはっきり覚えているという。
 姉は、終戦の年まで生きた祖母を最後まで世話し、看取った。そして箪笥は、その後、姉のものとなった。
 母と同い年のこの古箪笥は、一世紀以上に亘って、祖母や母、姉の人生とずっと寄り添ってきた。その引き出しには、私の知らない思い出が一杯詰まっている。その思い出を、祖母のおかげで、90年もおまけの人生を生きた姉が、頼りなくなった頭で引っ張り出しては、私に語って聞かせる。どの引き出しを開けたか、すぐに忘れる姉のことだから、同じ話を繰り返し、繰り返し聞かされる。まさに、耳にタコができるとは、このことだろう。でも、そのおかげで、私は、私の知らない祖父母に出会い、二人の存在を身近に感じるようになった。
 箪笥の上に飾られた二人の遺影を見ていると、この古箪笥の出現を誰よりも喜んでいるのは、やっぱりハルばあさんのような気がしてならない。、








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